蜻蛉日記 菊。 『蜻蛉日記』「うつろひたる菊」の現代語訳と重要な品詞の解説3

『蜻蛉日記』の作者藤原道綱母の激しさ

蜻蛉日記 菊

九月 【注1】ばかりになりて、 出でにたる 【注2】ほどに、箱 の 【注3】あるを、 手まさぐり 【注4】に開けて見れば、人のもとに やらむ 【注5】と しける 【注6】文あり。 あさましさ 【注7】に、 見てけり 【注8】と だに 【注9】 知られむ 【注10】と思ひて、書きつく。 うたがはし 【注11】ほかに 渡せる 【注12】 ふみ 【注13】見ればここや とだえ 【注14】に ならむ 【注15】と すらむ 【注16】 など思ふほどに、 むべなう 【注17】、 十月 【注18】 つごもり方 【注19】に、三夜 しきり 【注20】て 見えぬ 【注21】ときあり。 つれなう 【注22】て、「しばし 試みる 【注23】ほどに。 」など、 けしき 【注24】あり 重要な品詞と語句の解説 語句【注】 品詞と意味 1 九月 名詞。 読みは「ながつき」。 陰暦九月の異称。 2 出でにたる ダ行下二段動詞「出づ」の連用形+完了の助動詞「ぬ」の連用形+完了の助動詞「たり」の連体形。 意味は「出て行ってしまった」。 3 の 格助詞の主格。 意味は「~が」。 「の」の見分け方については、以下のページで詳しく解説をしていますので、よろしかったら、ご確認下さい。 4 手まさぐり 名詞。 意味は「手先でもてあそぶこと・手慰み」。 5 やらむ ラ行四段動詞「やる」の未然形+意志の助動詞「む」の終止形。 意味は「やろう」。 「む(ん)」の見分け方については、以下のページで詳しく解説をしていますので、よろしかったら、ご確認下さい。 6 しける サ変動詞「す」の連用形+過去の助動詞「けり」の連体形。 意味は「した」。 7 あさましさ 名詞。 意味は「驚きあきれること」。 8 見てけり マ行上一段動詞「見る」の連用形+強意(確述)の助動詞「つ」の連用形+詠嘆の助動詞「けり」の終止形。 意味は「見てしまったよ」。 9 だに 副助詞。 意味は「せめて~だけでも」。 10 知られむ ラ行四段動詞「知る」の未然形+受身の助動詞「る」の未然形+意志の助動詞「む」の終止形。 意味は「知られよう・分かってもらおう」。 11 うたがはし シク活用の形容詞「うたがはし」の終止形。 「疑はし」と「橋」の掛詞。 12 渡せる サ行四段動詞「渡す」の已然形+完了の助動詞「り」の連体形。 意味は「渡した・与えた」。 「渡せ」は、「はし(橋)」の縁語。 13 ふみ 名詞。 意味は「手紙」。 「文」と「踏み」の掛詞。 「踏み」は、「はし(橋)」の縁語。 14 とだえ 名詞。 意味は「男女の仲が途絶えること」。 「途絶え」は、「はし(橋)」の縁語。 15 ならむ ラ行四段動詞「なる」の未然形+推量の助動詞「む」の終止形。 意味は「なろう」。 16 すらむ サ変動詞「す」の終止形+現在推量の助動詞「らむ」の連体形。 意味は「するのだろう」。 「らむ」は係助詞「や」に呼応している。 17 むべなう 連語。 意味は「なるほど」。 18 十月 名詞。 読みは「かんなづき・かみなづき」。 陰暦十月の異称。 19 つごもり方 名詞。 意味は「下旬ごろ・月末ごろ」。 20 しきり ラ行四段動詞「しきる」の連用形。 意味は「連続で起こる」。 21 見えぬ ヤ行下二段動詞「見ゆ」の未然形+打消の助動詞「ず」の連体形。 意味は「見えない」。 22 つれなう ク活用の形容詞「つれなし」の連用形。 意味は「よそよそしい・そしらぬ顔だ」。 「つれな う」は「つれな く」がウ音便化している。 23 試みる マ行上一段「試みる」の連体形。 意味は「試してみる・様子を見る」。 24 けしき 名詞。 意味は「態度・そぶり」。 九月ごろになって、(夫の兼家が)出て行ってしまったときに、文箱が置いてあるのを(見つけて)、手慰みに開けて見ると、他の女性のもとにやろうとした手紙があった。 驚きあきれて、せめて見てしまったよとだけでも知られようと思って、和歌を書きつける。 疑わしいことです。 他の女性に渡した手紙を見ると、ここ(私の所)へ来るのが途絶えようとしているのでしょうか。 などと思っているうちに、なるほど(やはり)、十月の下旬に、三夜連続で、姿が見えないときがあった。 (夫は戻ってくると)そしらぬ顔をして、「しばらくあなたの気持ちを試しているうちに(日が過ぎてしまったよ)。 」などと言った態度であった。 いかがでしたでしょうか。 この箇所で特に重要な文法事項は次の通りです。

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5分でわかる蜻蛉日記!概要、あらすじ、冒頭、和歌などわかりやすく解説

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センター英語1ヶ月で63点あげて194点達成&センター世界史1ヶ月で52点上げて91点達成 1ヶ月で115点引き上げる! たとえ学校の先生からお前なんかMARCHにも受からないと言われても、残り4ヶ月で上智大学合格に導いた『逆転合格メーカー』のコシャリです。 いつも独学受験. jpにお越しいただきましてありがとうございます。 薄緑色のマーカーが助動詞です。 黄色のマーカーは受験に向けて覚えておきたい=古文単語集に載っていそうな単語です。 オレンジのマーカーは係り結びです。 助動詞と重なっている場合があります。 緑色のマーカーは敬語です 水色のマーカーは音便です 315は読んでみて覚える重要古文単語315をゴロゴは古文単語集ゴロ565の対応する番号を指しています 今回は藤原の道綱母が書いた蜻蛉日記です。 カンタンにいうと、浮気な夫にムカついている筆者が文句を付けていきます。 夫兼家は悪びれる様子もないので、筆者はますますムカついてます。 現代語訳 九月ごろになって、(筆者の夫の兼家が筆者の家から)外に出かけていった時に、 (手紙などが入っている)文箱が(置き忘れて)あるのを(何気なく)手慰みにあけてみると、(兼家が自分ではない他の)女の元に届けようとした手紙があった。 意外なことだと驚いて、(私が手紙を)見たということだけでも(夫兼家に)知ってもらおうと思って、(その女への手紙に自分の歌を)書きつける。 テストに出るかも• 人はどのような人をさすか? 兼家の愛人をさす。 この後3日連続で帰ってこなかったので結婚したものを思われる。 品詞分解 さて 接続詞 九月 名詞 天暦9年 筆者はこの年の8月末に道綱を産みました。 その前後から夫の兼家は「町の小路の女」のもとに通うようになっていたようです。 結構ひどい話です。 女の敵ですね。 ばかり 副助詞 に 格助詞 なり ラ行四段活用動詞「なり」の連用形 て 接続詞、 出で ダ行下二段活用動詞「出づ」の連用形 に 完了の助動詞「ぬ」連用形。 人を行かせる派遣する• 物を送る• 気晴らしをする• 水を流す• 先に進める などの意味があるがここは2の物を送る む 意志の助動詞「む」終止形。 あさましさ 驚いたこと、意外なこと 「さ」は形容詞や形容動詞の語幹について名詞化させる接尾語 あさましは315の73番 ゴロゴの13番 に 格助詞、 「見 マ行上一段活用動詞「見る」連用形 て 完了の助動詞「つ」の連用形。 せめてーだけでも ゴロゴの314番 「みてけりとだにしられむと」 ここでは兼家の浮気は止められないけど、私は他の女の元に通っているのを知っているんだからね。 バレてるんだからね。 ということだけでも兼家に知られようと思ったということですね。 筆者の夫へのあてつけの気持ちが表れています。 せめてもの抵抗というところでしょうか。 書き添える ここでは女あての手紙のはしに書き添える うたがはし ほかに渡せ る文見れば ここ やとだえに なら むとす らむ 現代語訳 疑わしく思われてしまいます。 他の女に渡そうとしているこの手紙をみると、私のいるここにはもうおいでにならなくなるのでしょうか。 品詞分解 疑はし シク活用形容詞「疑はし」終止形 疑わしい。 手紙のはしっこの「はし」と「橋」が掛詞になっています。 ほか 名詞 ほか。 ここでは兼家と親密なよその女を指しています。 に 格助詞 渡せ サ行四段活用動詞「渡す」已然形 「渡せる」で渡してあるの意味だが、ここは渡そうとしている。 手紙を届けようとしているの意味。 「橋」の縁語。 る 完了の助動詞「り」の連体形。 「踏み」との掛詞。 これも「橋」の縁語 見れ マ行上一段活用動詞「見る」已然形 ば 接続助詞 ここ 代名詞 筆者の家のこと や 係助詞 疑問 (係り結び) とだえ 名詞 行き来が途絶えること。 「橋」の縁語 に 格助詞 なら ラ行四段活用動詞「なる」未然形 む 推量の助動詞「む」の終止形。 つれな うて、 「しばし試みるほどに」 など 気色あり。 現代語訳 などと(暗い気持ちに)思っていると、はたして、10月の末ごろに、(結婚の証である)三晩連続で自分のところに兼家がお見えにならない時があった。 (兼家は)素知らぬふりをして、「しばらく(妻の私の気持ちを)ためしているうちに(時間が経ってしまった)」 などと思わせぶりなことをいう。 品詞分解 など 副助詞 思ふ ハ行四段活用動詞「思ふ」連体形 ほど 名詞 に 格助詞、 むべなう ク活用形容詞「むべなし」連用形「むべなく」のウ音便、 案の定 果たして 315の283番「むべ」 十月 名詞 つごもりがた 名詞 末頃。 「つごもり」は陰暦の月の最終日または下旬のこと。 に 格助詞、 三夜 名詞 当時、男女が結婚する際には、三晩続けて女のもとに男が通う習慣だったので、筆者は自分が道綱を産んですぐによその女に3日連続で通う意味を察して衝撃を受けたと考えられる。 しきり ラ行四段活用動詞「しきる」連用形 「頻る(しきる)」は後から後から続く、度重なる、続いて起こる。 て 接続助詞 見え ヤ行下二段活用動詞「見ゆ」未然形 「見えぬ」は姿を見せない、訪れがない。 ぬ 打消の助動詞「ず」連体形。 つれなう ク活用形容詞「つれなし」連用形「つれなく」のウ音便 (夫の兼家は)そしらぬふりをして。 何食わぬ顔で。 「つれなし」は平然としている、冷淡だ、よそよそしい、さりげない、 315の58番 ゴロゴ360番 て 接続助詞、 「しばし 副詞 こころみる マ行上一段活用動詞「こころみる」連体形 試しに行うの意味。 「しばしこころみるほどに」でしばらく通わずにいて、あなた=筆者の気持ちを試しているうちに、つい日がたってしまった。 と言っています。 うーん、白々しいですね。 ほど 名詞 に」 格助詞 など 副助詞 気色 名詞 315の113番 「気色あり」で思わせぶりなことを言うという意味。 兼家がそれとなくほのめかして、自分の浮気を言い訳がましく弁解している様子をいっています。 現代語訳 これ=筆者の家から夕方に、兼家が(急に思い出したように)「そういえば、今日は宮中に外すことのできない用事があったんだ」といって、私の家から出ていったので、 私=筆者は変に思って、召使いの者をやって、兼家の後をつけさせて、(兼家の行き先を)見させると、 (その召使は)「町の小路にあるこれこれの場所におとまりになりました」 といって帰ってきた。 品詞分解 これ 代名詞 筆者の家から。 「出づる」にかかります。 今まで筆者の家に来ていたんですね。 より 格助詞、 夕さりつかた、 名詞 夕方の頃。 「つ」は上代の「の」です。 沖つ白波、天つ風、奥つ方なんていい方があります。 参考: 「内裏 名詞 宮中、内裏。 今晩筆者の家に泊まってしまうと明朝参内できなくなるので、今日は筆者のもとには泊まらないということを兼家は言っています。 本当かいな。 に 格助詞 のがる ラ行下二段活用動詞「のがる」終止形 まじかり 不可能推量の助動詞「まじ」連用形。 納得する ア行下二段活用は「得(う)」「心得」だけでしたね。 で 接続助詞、 「で」は上を打ち消してしたへ続ける接続助詞 「心得で」で納得出来ないで、合点がいかないで、変に思って、不審に思って 人 名詞 召使い を 格助詞 つけ カ行下二段活用動詞「つく」連用形 尾行させる て 接続助詞 見すれ サ行下二段活用動詞「見す」已然形 見させる 見届けさせる ば 接続助詞、 「町 名詞 の 格助詞 小路 名詞 なる 存在の助動詞「なり」連体形。 詳細を省略しています。 に 格助詞 なむ 係助詞、(係り結び) とまり ラ行四段活用動詞「止まる」連用形 「とまり給ひぬる」は兼家が車をおとめになったということ。

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蜻蛉日記『嘆きつつひとり寝る夜・うつろひたる菊』問題1

蜻蛉日記 菊

菊は、奈良時代末から平安時代初めにかけて中国から伝えられました。 この可憐な花は平安貴族を魅了し、以来盛んに栽培され、菊に寄せた数々の歌が詠まれるようになりました。 「植えし植えば秋無き時や咲かざらむ花こそ散らめねさえかれめや」在原業平 真心込めて植えたならば、秋という季節がある限り咲いてくれるだろう。 花が散っても根が枯れなければ 「久方の雲のうへにてみる菊は天つ星とぞあやまたれける」藤原敏行 宮中の殿上から見る庭の菊は星と見まがうほどに美しい) また、渡来した折から、この花には邪気を払い長寿を授ける霊力を持つ、という伝説が伴っていました。 この伝説をもとに、貴族達は九月九日の「重陽の節句」に、菊の花びらを浮かべた酒を酌み交わしたり、菊の夜露で身体を拭ってたりして長寿を祈ったのです。 「老いにけるよはひもしわものぶばかり菊の露にぞけさはそぼつる」曽根好忠 老いてしまった年齢も皺ものびそうだ。 今朝、菊の露でこの身を濡らしたから) 貴族達が愛した「移ろふ菊」とは? ところで菊を詠んだ歌に、このようなものがあります。 「秋をおきて時こそ有けれ菊の花うつろふからに色のまされば」紀貫之 秋を過ぎてこそ菊は盛りであり、打ち萎れていく程に色の美しさがまさる 「紫にやしほ染めたる菊の花うつろふ花と誰かいひけん」藤原義忠 紫に何度も染めたような美しい菊の花を、色褪せた花などと誰が言ったのだろう 「移ろふ」とは色が変わる事。 確かに菊には「アスター」等、色変わりする品種もありますが、この歌は、そうした品種の花について詠んだものではありません。 実は「移ろふ」とは、晩秋の頃白菊が霜枯れし、花弁の端から「紫」に褪色した様子。 通常、褪色した花は、みすぼらしいものとして倦厭されますが、平安貴族にとって、霜枯れした菊だけは別格でした。 より高貴な色「紫」に変わる事により、盛りの頃の白菊よりも美しいとされたのは、前述した歌が示す通りです。 それにしても、霜枯れして優美な「紫」になった菊にはお目にかかった事がありません。 実際はいかなるものなのか…?気にかかったので実験をば、と、可哀想でしたが白菊を水に濡らして冷蔵庫に入れてみました。 その結果は…。 残念ながら花びらの先は「茶色」に褪色してしまいました…。 が、その花を暗い所で見てみると、あら不思議! 「茶色」が「紫」に見えるではありませんか! 何もかもが電燈で明るく照らし出される現代と違い、晩秋のほの暗い平安期の風景の中では、「茶色」い霜枯れの菊が、何とも優美な「紫」に見えたのではないかと推察するのですが、いかがでしょうか? 使い方でちょっと怖い、恨みを込めた「移ろふ菊」 さて、「移ろふ菊」は、歌に詠まれただけでなく、冠や髷に挿したり、手紙に添えて送られたりしました。 「源氏物語」にも、「移ろふ菊」を挿して美々しく舞う源氏の君の姿が描かれていますが、最後に「蜻蛉日記」に登場する「移ろふ菊」をご紹介します。 時は神無月のつごもり。 他の女に心を移したと思われる夫へ、日記の作者である妻が手紙を送ります。 「なげきつつひとり寝る夜のあくるまはいかに久しきものとかは知る」 あなたのおいでがなくて嘆きながらひとり寝る夜はどんなに長いものか、あなたはご存知でしょうか 「と、例よりはひきつくろひて書きて、移ろひたる菊にさしたり」 と、いつもよりは改まって書いて、色褪せた菊に挿して送った この時に添えられた「移ろふ菊」には、こんな風にあなたの心も移ろってしまったのね、と言う皮肉と恨みが込められています。 いくら優美な色であったとしても、この菊、ちょっと怖くて手に取るのをためらってしまいそうですね。

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