ディアドコイ 戦争。 [B! 歴史] ディアドコイ戦争

ペロポネソス戦争をわかりやすく解説

ディアドコイ 戦争

「アレクサンドロスの遺産」は、アドテクノスが朝日出版社と企画して出したシミュレーションゲームブックスというシリーズの第2作です。 デザイナーは若き日の越田一郎先生。 題材はアレクサンドロスの死後、その帝国の後継を巡って争ったディアドコイたちの戦争です。 シミュレーションゲームブックスの名の通り、シミュレーションゲームと本を融合した形になっており、折込のマップ、カウンター(きちんと厚紙のパンチアウト)、ルールブックに加えて、ヒストリカルノートに当る部分が本と呼べるほどに充実しているのが特徴でした。 シリーズのほかの作品はわかりませんが、この「アレクサンドロスの遺産」のヒストリカルノート部分は非常に充実しています。 アレクサンダー大王の東征から語り起こして、ディアドコイ戦争の全般までが日本語で読める貴重な資料として要領よくまとめられています。 そして、これに加えてディアドコイ戦争の全局を正に体感させてくれるヒストリカルシミュレーションゲームがセットになっているという訳です。 史実そのものについては、既に冊子に良くまとめられているので、今回はゲームの内容についてだけ語っていきましょう。 ゲームシステム ゲームシステムは、SPIの「ポエニ戦争」あたりを下敷きにしているということですが、マルチプレイヤーズゲームということで独特の部分もあります。 マップはヘクスマップになっていて、同一へクス戦闘、数へクスの距離に対してリアクションによる迎撃と事前撤退が可能というシステムです。 1年間を春・夏・秋に分け、そのそれぞれに徴税・徴兵と二回のアクションフェイズがあります。 ここで独特なのが、プレイヤーターンという概念がなく、アクションフェイズにはチットで決まるプレイ順に従って各自が自軍のスタックを1つずつ順番に動かすということです。 つまり、プレイヤーAが1スタックを動かすと次はプレイヤーBが、次はCが、そしてDが、そうしたらまたAに戻ってまた1スタックずつ動かしていくのです。 このことによりチェスムーブのような駆け引きが発生し、1回のアクションフェイズの中にも時系列がある展開が起こってきます。 プレイタイムが多少長くなるシステムなのですが、優秀な指揮官は限られているので、有力なスタックの数は多くなく、プレイ可能な範囲で考えられていると言えます。 ゲームの目的は、エリアを多く支配することです。 エリアを支配するには、そのエリアにある都市を支配していく必要があります。 このため、部隊を進出させて都市に外交を掛けたり、攻囲を実施したりしていくことが必要になります。 部隊には、エリートである陸戦A部隊、陸戦B部隊、海軍部隊、象部隊の4種類があります。 陸戦A部隊はB部隊の2倍の戦力を持っており、象部隊は使って見ないと効果がわからない不確定戦力という扱いになっています。 細かいところで面白いのは、象の戦力を判定する表が2種類になっていて「理想」と「現実」になっており、プレイ開始時にプレイヤー間でどちらを用いるか合意するようになっています。 都市攻囲戦は原則的には陸軍で実施するしかないのですが、海軍は沿岸沿いに高速で大量の部隊を送り込むための有力手段なので重要です。 海路でなければ到達できない島嶼も地中海には少なくありません。 実際に少しやってみて 今回ソロプレイで、数ターンやってみての感想をいくつか書いておきます。 ただし、そのためにはエリア名を聞いた途端に場所がピンと来ることは最低限必要なようです。 そうではない古代地図に疎い筆者のようなプレイヤーには、エリアの位置関係を見やすく整理し、かつ収入と徴兵力をすぐ参照できるプレイエイドがないと辛いと思います。 また、徴兵でマイナースタックが多数出来ると、用意されているユニットでは不足してしまう点や、どうせこうなると判っているなら勢力ごとのカラーの付いた無名指揮官を用意して欲しかったという気がします。 発売された時代が時代なので、こうしたプレイエイドに親切心が不足しているのは当時としては普通のことなのですが、今からプレイするといささか辛く感じます。 そもそもゲームシステムの部分で、徴兵に関しては隣接エリアくらいまでは融通を利かせられるようにしてその代わりに徴兵した部隊はすぐには移動させられないという風にした方が、徴兵の手順も、その後の部隊合流のための余分な移動もなくてスッキリとプレイしやすくなったのではないかという気がします。 兵種についても、仕訳として最低限でもこれだけは欲しいと言う4種類なのだと思いますが、このスケールであれば陸戦兵力と海戦兵力だけで良かったのではないかという気がします。 ゲームの醍醐味がディアドコイたちのマルチの駆け引きにあると思うので、そこに集中できるようにするためにはそれ以外の作業的な労力はできるだけない方が良いような気がします。 いろいろと注文を付けましたが、プレイエイドを作成して、煩雑な部分を省力化するようなローカルルールを作ってしまえば、かなり面白く今でも十分にプレイに耐えるのではないかという気がします。 その一方で、細かいルールの部分が史実に関するフレーバーや造詣をいろいろと感じさせてくれているというのも事実です。 決して見やすいとは言えないエリア特性の表もしげしげと見ていくと、この時代の地域の特性が良く分かります。 人的資源はギリシャ方面に豊富ですが、海軍を建設しようとするとどこらへんでできるのか、象を調達しようとするとどこらへんになるのか、兵員資源は少なくとも金銭的に豊かなのはどこかなどが如実に判ります。 都市の属性もそうで、同盟に呼応しない都市、難攻不落の都市などの位置付けがいろいろとあり、地図を見ていると興味深く読むことが出来ます。 このあたり、そのまま「ヒストリカルシミュレーションゲームというのは、プレイして楽しむことだけを目的にデザインするものではないのでは?」という問題提起が見えるような気もするのですがどうでしょうか?.

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ディアドコイ戦争

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「アレクサンドロスの遺産」は、アドテクノスが朝日出版社と企画して出したシミュレーションゲームブックスというシリーズの第2作です。 デザイナーは若き日の越田一郎先生。 題材はアレクサンドロスの死後、その帝国の後継を巡って争ったディアドコイたちの戦争です。 シミュレーションゲームブックスの名の通り、シミュレーションゲームと本を融合した形になっており、折込のマップ、カウンター(きちんと厚紙のパンチアウト)、ルールブックに加えて、ヒストリカルノートに当る部分が本と呼べるほどに充実しているのが特徴でした。 シリーズのほかの作品はわかりませんが、この「アレクサンドロスの遺産」のヒストリカルノート部分は非常に充実しています。 アレクサンダー大王の東征から語り起こして、ディアドコイ戦争の全般までが日本語で読める貴重な資料として要領よくまとめられています。 そして、これに加えてディアドコイ戦争の全局を正に体感させてくれるヒストリカルシミュレーションゲームがセットになっているという訳です。 史実そのものについては、既に冊子に良くまとめられているので、今回はゲームの内容についてだけ語っていきましょう。 ゲームシステム ゲームシステムは、SPIの「ポエニ戦争」あたりを下敷きにしているということですが、マルチプレイヤーズゲームということで独特の部分もあります。 マップはヘクスマップになっていて、同一へクス戦闘、数へクスの距離に対してリアクションによる迎撃と事前撤退が可能というシステムです。 1年間を春・夏・秋に分け、そのそれぞれに徴税・徴兵と二回のアクションフェイズがあります。 ここで独特なのが、プレイヤーターンという概念がなく、アクションフェイズにはチットで決まるプレイ順に従って各自が自軍のスタックを1つずつ順番に動かすということです。 つまり、プレイヤーAが1スタックを動かすと次はプレイヤーBが、次はCが、そしてDが、そうしたらまたAに戻ってまた1スタックずつ動かしていくのです。 このことによりチェスムーブのような駆け引きが発生し、1回のアクションフェイズの中にも時系列がある展開が起こってきます。 プレイタイムが多少長くなるシステムなのですが、優秀な指揮官は限られているので、有力なスタックの数は多くなく、プレイ可能な範囲で考えられていると言えます。 ゲームの目的は、エリアを多く支配することです。 エリアを支配するには、そのエリアにある都市を支配していく必要があります。 このため、部隊を進出させて都市に外交を掛けたり、攻囲を実施したりしていくことが必要になります。 部隊には、エリートである陸戦A部隊、陸戦B部隊、海軍部隊、象部隊の4種類があります。 陸戦A部隊はB部隊の2倍の戦力を持っており、象部隊は使って見ないと効果がわからない不確定戦力という扱いになっています。 細かいところで面白いのは、象の戦力を判定する表が2種類になっていて「理想」と「現実」になっており、プレイ開始時にプレイヤー間でどちらを用いるか合意するようになっています。 都市攻囲戦は原則的には陸軍で実施するしかないのですが、海軍は沿岸沿いに高速で大量の部隊を送り込むための有力手段なので重要です。 海路でなければ到達できない島嶼も地中海には少なくありません。 実際に少しやってみて 今回ソロプレイで、数ターンやってみての感想をいくつか書いておきます。 ただし、そのためにはエリア名を聞いた途端に場所がピンと来ることは最低限必要なようです。 そうではない古代地図に疎い筆者のようなプレイヤーには、エリアの位置関係を見やすく整理し、かつ収入と徴兵力をすぐ参照できるプレイエイドがないと辛いと思います。 また、徴兵でマイナースタックが多数出来ると、用意されているユニットでは不足してしまう点や、どうせこうなると判っているなら勢力ごとのカラーの付いた無名指揮官を用意して欲しかったという気がします。 発売された時代が時代なので、こうしたプレイエイドに親切心が不足しているのは当時としては普通のことなのですが、今からプレイするといささか辛く感じます。 そもそもゲームシステムの部分で、徴兵に関しては隣接エリアくらいまでは融通を利かせられるようにしてその代わりに徴兵した部隊はすぐには移動させられないという風にした方が、徴兵の手順も、その後の部隊合流のための余分な移動もなくてスッキリとプレイしやすくなったのではないかという気がします。 兵種についても、仕訳として最低限でもこれだけは欲しいと言う4種類なのだと思いますが、このスケールであれば陸戦兵力と海戦兵力だけで良かったのではないかという気がします。 ゲームの醍醐味がディアドコイたちのマルチの駆け引きにあると思うので、そこに集中できるようにするためにはそれ以外の作業的な労力はできるだけない方が良いような気がします。 いろいろと注文を付けましたが、プレイエイドを作成して、煩雑な部分を省力化するようなローカルルールを作ってしまえば、かなり面白く今でも十分にプレイに耐えるのではないかという気がします。 その一方で、細かいルールの部分が史実に関するフレーバーや造詣をいろいろと感じさせてくれているというのも事実です。 決して見やすいとは言えないエリア特性の表もしげしげと見ていくと、この時代の地域の特性が良く分かります。 人的資源はギリシャ方面に豊富ですが、海軍を建設しようとするとどこらへんでできるのか、象を調達しようとするとどこらへんになるのか、兵員資源は少なくとも金銭的に豊かなのはどこかなどが如実に判ります。 都市の属性もそうで、同盟に呼応しない都市、難攻不落の都市などの位置付けがいろいろとあり、地図を見ていると興味深く読むことが出来ます。 このあたり、そのまま「ヒストリカルシミュレーションゲームというのは、プレイして楽しむことだけを目的にデザインするものではないのでは?」という問題提起が見えるような気もするのですがどうでしょうか?.

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ディアドコイ 戦争

「アレクサンドロスの遺産」は、アドテクノスが朝日出版社と企画して出したシミュレーションゲームブックスというシリーズの第2作です。 デザイナーは若き日の越田一郎先生。 題材はアレクサンドロスの死後、その帝国の後継を巡って争ったディアドコイたちの戦争です。 シミュレーションゲームブックスの名の通り、シミュレーションゲームと本を融合した形になっており、折込のマップ、カウンター(きちんと厚紙のパンチアウト)、ルールブックに加えて、ヒストリカルノートに当る部分が本と呼べるほどに充実しているのが特徴でした。 シリーズのほかの作品はわかりませんが、この「アレクサンドロスの遺産」のヒストリカルノート部分は非常に充実しています。 アレクサンダー大王の東征から語り起こして、ディアドコイ戦争の全般までが日本語で読める貴重な資料として要領よくまとめられています。 そして、これに加えてディアドコイ戦争の全局を正に体感させてくれるヒストリカルシミュレーションゲームがセットになっているという訳です。 史実そのものについては、既に冊子に良くまとめられているので、今回はゲームの内容についてだけ語っていきましょう。 ゲームシステム ゲームシステムは、SPIの「ポエニ戦争」あたりを下敷きにしているということですが、マルチプレイヤーズゲームということで独特の部分もあります。 マップはヘクスマップになっていて、同一へクス戦闘、数へクスの距離に対してリアクションによる迎撃と事前撤退が可能というシステムです。 1年間を春・夏・秋に分け、そのそれぞれに徴税・徴兵と二回のアクションフェイズがあります。 ここで独特なのが、プレイヤーターンという概念がなく、アクションフェイズにはチットで決まるプレイ順に従って各自が自軍のスタックを1つずつ順番に動かすということです。 つまり、プレイヤーAが1スタックを動かすと次はプレイヤーBが、次はCが、そしてDが、そうしたらまたAに戻ってまた1スタックずつ動かしていくのです。 このことによりチェスムーブのような駆け引きが発生し、1回のアクションフェイズの中にも時系列がある展開が起こってきます。 プレイタイムが多少長くなるシステムなのですが、優秀な指揮官は限られているので、有力なスタックの数は多くなく、プレイ可能な範囲で考えられていると言えます。 ゲームの目的は、エリアを多く支配することです。 エリアを支配するには、そのエリアにある都市を支配していく必要があります。 このため、部隊を進出させて都市に外交を掛けたり、攻囲を実施したりしていくことが必要になります。 部隊には、エリートである陸戦A部隊、陸戦B部隊、海軍部隊、象部隊の4種類があります。 陸戦A部隊はB部隊の2倍の戦力を持っており、象部隊は使って見ないと効果がわからない不確定戦力という扱いになっています。 細かいところで面白いのは、象の戦力を判定する表が2種類になっていて「理想」と「現実」になっており、プレイ開始時にプレイヤー間でどちらを用いるか合意するようになっています。 都市攻囲戦は原則的には陸軍で実施するしかないのですが、海軍は沿岸沿いに高速で大量の部隊を送り込むための有力手段なので重要です。 海路でなければ到達できない島嶼も地中海には少なくありません。 実際に少しやってみて 今回ソロプレイで、数ターンやってみての感想をいくつか書いておきます。 ただし、そのためにはエリア名を聞いた途端に場所がピンと来ることは最低限必要なようです。 そうではない古代地図に疎い筆者のようなプレイヤーには、エリアの位置関係を見やすく整理し、かつ収入と徴兵力をすぐ参照できるプレイエイドがないと辛いと思います。 また、徴兵でマイナースタックが多数出来ると、用意されているユニットでは不足してしまう点や、どうせこうなると判っているなら勢力ごとのカラーの付いた無名指揮官を用意して欲しかったという気がします。 発売された時代が時代なので、こうしたプレイエイドに親切心が不足しているのは当時としては普通のことなのですが、今からプレイするといささか辛く感じます。 そもそもゲームシステムの部分で、徴兵に関しては隣接エリアくらいまでは融通を利かせられるようにしてその代わりに徴兵した部隊はすぐには移動させられないという風にした方が、徴兵の手順も、その後の部隊合流のための余分な移動もなくてスッキリとプレイしやすくなったのではないかという気がします。 兵種についても、仕訳として最低限でもこれだけは欲しいと言う4種類なのだと思いますが、このスケールであれば陸戦兵力と海戦兵力だけで良かったのではないかという気がします。 ゲームの醍醐味がディアドコイたちのマルチの駆け引きにあると思うので、そこに集中できるようにするためにはそれ以外の作業的な労力はできるだけない方が良いような気がします。 いろいろと注文を付けましたが、プレイエイドを作成して、煩雑な部分を省力化するようなローカルルールを作ってしまえば、かなり面白く今でも十分にプレイに耐えるのではないかという気がします。 その一方で、細かいルールの部分が史実に関するフレーバーや造詣をいろいろと感じさせてくれているというのも事実です。 決して見やすいとは言えないエリア特性の表もしげしげと見ていくと、この時代の地域の特性が良く分かります。 人的資源はギリシャ方面に豊富ですが、海軍を建設しようとするとどこらへんでできるのか、象を調達しようとするとどこらへんになるのか、兵員資源は少なくとも金銭的に豊かなのはどこかなどが如実に判ります。 都市の属性もそうで、同盟に呼応しない都市、難攻不落の都市などの位置付けがいろいろとあり、地図を見ていると興味深く読むことが出来ます。 このあたり、そのまま「ヒストリカルシミュレーションゲームというのは、プレイして楽しむことだけを目的にデザインするものではないのでは?」という問題提起が見えるような気もするのですがどうでしょうか?.

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