パーキンソン 病 病態。 パーキンソン病を分かりやすく説明。症状、治療法。摂食・嚥下障害にも注意

パーキンソン病の病態概論(パーキンソン病のメカニズムとリハビリ ③)

パーキンソン 病 病態

進行すると自力歩行も困難となり、車椅子や寝たきりになる場合がある。 40歳以上の中高年の発症が多く、特に65歳以上の割合が高い。 肉眼的には中脳の黒質・青斑核の色素脱失がみられ、組織学的には、黒質や青斑、迷走神経背側核、視床下部、交感神経節などの神経細胞脱落が生じていて、典型的には残存神経細胞やその突起の一部にレビー小体 Lewy body という特徴的な封入体が認められる。 中脳黒質のドパミン神経細胞減少により、これが投射する線条体(被殻と尾状核)においてドパミン不足と相対的なアセチルコリンの増加がおこり、機能がアンバランスとなることが原因と考えられている。 wikipedia. スポンサードサーチ 運動の調節と実行に関する大脳基底核の役割 随意運動が正確でスムーズに実行されるためには、一次運動野からの指令に加えて、 大脳基底核や小脳の調節が重要になります。 一次運動野: 随意運動の実行を命令する。 大脳基底核: 運動の開始や停止をスムーズにする。 運動が滑らかになるように調節する。 小脳: 運動方向、タイミング、強さ、平衡感覚などを調節する。 大脳基底核は 視床を介し、大脳皮質にブレーキをかけて(抑制性)います。 ブレーキの調整により、スムーズな運動が行われます。 基底核の障害には主に2つあります。 ・基底核からの抑制が強くなりすぎる:パーキンソン病が代表 ・基底核からの抑制が低下する:ハンチントン病が代表 スポンサードサーチ 大脳基底核内での直接路と間接路 大脳皮質から大脳基底核に、運動に関する情報が伝えられると、基底核内の 直接路、間接路の2つの経路に伝達されます。 2つの経路がバランスをとりながら調節することで、必要な運動のみを選択して実行し、正しいタイミングで運動の開始・停止が行えます。 直接路ではブレーキを緩めることで、必要な運動を必要な時間行えるようにします。 間接路ではブレーキを強めことで、必要でない運動を抑えます。 パーキンソン病では、黒質緻密部のドーパミンニューロンが変性・脱落しますが、ドーパミンの減少は、直接路の活動低下と間接路の亢進を誘発します。 このようなことにより、パーキンソン病における各症状が出現します。 スポンサードサーチ パーキンソン病と脳科学 パーキンソン病と補足運動野(記憶誘導性の運動)の関係!ADLへの影響 補足運動野とは、 補足運動野 supplementary motor area, SMA とは大脳皮質前頭葉のうちBrodmann脳地図の6野内側部を占める皮質運動領野である。 〜中略〜 補足運動野は運動制御において一次運動野とは異なる固有の役割 例、自発的な運動の開始、異なる複数の運動を特定の順序に従って実行する、両手の協調動作など を果たしていることが明らかにされている。 neuroinf. 補足運動野は、大脳基底核、頭頂葉との機能的な連結があります。 この機能的な連結により、補足運動野は頭頂葉の身体情報を用いて、大脳基底核に蓄えられている手続き記憶を用いての運動プログラムの形成に関わります。 前途しましたが、記憶や予測情報から運動をシミュレーションし、必要な運動の選択と不必要な運動の抑制をおこなうものが補足運動野になります。 これは、よく「記憶誘導性の運動」と呼ばれています。 補足運動野が障害されると、 ・自発的な運動の開始ができない *指示があれば運動を開始できる ・両手動作(特に左右で異なる動作)の協調性が低下する ・運動時の姿勢調節が不十分になる ・連続動作が不得意 ・複数動作(粉末コーヒーの蓋を開けてコップにコーヒーの粉を入れ、湯を入れるなど)を適切な順序で実行できない ということが生じる可能性があります。 パーキンソン病では、大脳基底核の機能不全が起こることから、上記のような症状がADL動作の阻害要因になることが予測されます。 スポンサードサーチ パーキンソン病の無動やすくみ足が起きるメカニズム 先ほど、パーキンソン病では、大脳基底核からの抑制が強くなりすぎると説明しました。 これが、無動やすくみ足の原因となります。 PDでは中脳黒質緻密部のドーパミン神経が脱落変性した結果,大脳基底核からの抑制性出力が強まり,視床を介して大脳基底核と神経ネットワークを形成している補足運動野の機能が 低下している。 補足運動野は内発的に運動を行う際の運動の準備状態や運動プログラムの生成に関与している。 PD 患者では, 補足運動野の機能が低下し,内発的に随意運動を行う際の運動プログラムの生成が障害されることにより無動が生じると考えられる。 岡田洋平「パーキンソン病の理学療法 Up to date」理学療法学 第 42 巻第 8 号 755 ~ 756 頁(2015年) すくみ足を、両下肢の協調運動障害として捉えて考える場合もあるようです。 スポンサードサーチ 寡動・無動と上肢機能 寡動は運動の緩慢さや動作開始の遅延です。 無動は運動の開始困難です。 臨床場面では、運動開始反応時間の遅れ、運動遂行時間の遅れ、反復運動による疲労などが観察されます。 書字では小字症がみられ、文末に行くほど字が小さくなります。 すくみ現象は上肢でもみられ、四つ這い移動で腕を前に出せない、出せても途中で止まってしまうことがあります。 すくみ現象は大脳基底核と補足運動野との相互作用による運動制御の障害が考えられています。 歩行では腕振りの減少、下肢と上肢のリズムが合わないことがあります。 車椅子駆動ではハンドリム操作が小刻みになることもあります。 ジスキネジアと上肢機能 L-ドーパの長期服用による非律動性(規則正しくない)の不随意運動です。 四肢や体幹に起こり、上肢機能に影響があります。 スポンサードサーチ Delayed On現象とは Delayed On現象とは、特に高齢者において薬の吸収が遅くなり、その効果が出てくるのが遅くなる現象です。 例えば、この現象があると、午前中に薬を飲んでも全く効かず、午後からは薬が効き動きがよくなるなどということが見られます。 悪性症候群とは 悪性症候群とは、 ・40度を超える高熱 ・症状の悪化(振戦、固縮など) ・意識障害 ・血圧変動、頻脈、発汗過多 ・高CPK(クレアチンキナーゼ)血症 などが見られる症候群です。 これは、パーキンソン病治療薬を自己判断で突然服用を中止したときにもみられることがあります。 そのため、服薬指導をしっかりと行っていくことが大切だとされています。 パーキンソン病治療薬の副作用として、嘔気嘔吐などもあり、これをきっかけに服薬を行いたくないという方もいます。 しっかりと薬の効能や副作用などの特徴を理解した上で服薬治療に臨むことが大切になります。 それぞれのステージの特徴は以下の通りです。 振戦、固縮、無動などによる日常生活に多少の支障があります。 日常生活はある程度制限されます。 自立した日常生活は困難になります。 パーキンソン病統一スケール(UPDRS、MDS-UPDRS:改訂版)の概要と使用方法、結果の解釈 パーキンソン病統一スケールには旧版と改訂版の2つがあります。 パーキンソン病統一スケールには、 ・UPDRS ・改訂版(MDS-UPDRS) の2種類があります。 認知・情動状態、 ADL、運動機能、薬剤の副作用の項目を評価します。 国際的評価スケー ルとして信頼性が高く、特に治療効果判定に用いられることが多い評価法です。 全42項目の状態の評価を0~4の5段階で行います(第1部から第3部までは 0〜4の5段階、第4部は一部 0、1の2段階で評価します)。 UPDRS の評価尺度は順序尺度です。 5cm あげる. 0 正常 1 すこし遅いか,振幅が小さい. 2 中等度の障害.すぐ疲れてしまう.時に止まっても良い. 3 著明な障害.しばしば開始時にすくむか運動が止まる. 4 ほとんどできない. 27.イスから立ち上がる.(まっすぐの 背もたれの木か金属のイス.腕を組んだま ま 立ち上がる) 0 正常 1 遅い.または1度でうまく行かないことあり. 2 肘掛けに腕をついて立ち上がる. 3 イスにふたたび倒れ込む.一度では うまく行かないことあり.介助なしで立ち 上 がれる. 4 介助なしでは立ち上がれない. 28.姿勢 0 正常 1 軽度の前屈姿勢.高齢者では正常な程度. 2 中等度に前屈姿勢.明らかに異常.すこし左右一方に偏っていても良い. 3 高度に前屈姿勢で,脊柱後彎(亀背 )をともなう.中等度に左右一方に偏って い てよい. 4 高度の前屈姿勢.姿勢は極端に異常である. 29.歩行 0 正常 1 歩行は緩慢.数歩はひきずり足になる.加速歩行や前方突進はない. 2 歩行は困難をともなう.介助は要しない.加速歩行や数歩の前方突進あり. 3 いちじるしく障害.介助を要する. 4 介助があっても歩行不能. 30.姿勢の安定性.(患者はまっすぐに 立ち,開眼し,足はすこし開いて準備する . 肩を後方に勢いよく引いて後方突進現象をみる) 0 正常 1 後方突進あり.自分で立ち直れる. 2 姿勢反射がおきない.検者が支えなければ倒れてしまう. 3 きわめて不安定.自然にバランスを失う. 4 介助なしでは立てない. 31.からだの動作緩慢.(動作緩慢,ち ゅうちょ,腕の振りの減少,運動の振幅の 減 少と運動全体の少なさを総合的に評価する) 0 なし 1 わずかに緩慢.ゆっくりとした動作 .人によっては正常のこともある.運動の 振 幅がやや小さいこともある. 2 軽 度に動作 が緩慢. 運動量が あきらか に低下し ている. 運動の大 きさがや や低下. 3 中等度に動作が緩慢.運動量が低下し,または運動の大きさが低下している. 4 著明に動作が緩慢.運動量の低下.または運動の大きさが低下している. UPDRS 4 治療の合併症 A. ジスキネジア 32.持続時間(起きている時間の何%か) 0 なし 1 1-25% 2 26-50% 3 51-75% 4 76-100% 33.ジスキネジアによる障害. 0 なし 1 軽度障害 2 中等度障害 3 重度に障害 4 完全な障害(なにもできない) 34.痛みをともなうジスキネジア.どのくらい痛いか. 0 なし 1 軽度 2 中等度 3 重度 4 著明な障害 35.早朝のジストニア 0 なし 1 あり B. 症状の日内変動 36.服薬時間から予測可能なオフ期間はあるか. 0 なし 1 あり 37.服薬時間から予測不可能なオフ期間はあるか. 0 なし 1 あり 38.とつぜん(数秒以内など)おこるオフ期間はあるか 0 なし 1 あり 39.起きている時間の何%が平均してオフ期間か. 0 なし 1 1-25% 2 26-50% 3 51-75% 4 76-100% C. その他の合併症状 40.患者は食欲低下,嘔気,嘔吐をともなっているか. 0 なし 1 あり 41.不眠や眠気があるか. 0 なし 1 あり 42.起立性低血圧症状はあるか. 0 なし 1 あり 結果の解釈 全項目の合計点は最高251点で、最も重症な状態を示しています。 カットオフや基準値は設定されていません。 パーキンソン病統一スケール改訂版(MDS-UPDRS)の概要 パーキンソン病統一スケール改訂版(MDS-UPDRS)は、パーキンソン病統一スケールに、いくつかの変更点を加えた改訂版になります。 MDS-UPDRSは4パートから構成されます。 Part IIは「日常生活における運動症状( Motor Experiences of Daily Living )」について13項目の質問からなります。 Part IIIは18項目の「運動能力検査( Motor Examination )」からなります。 一部項目において身体の左右などの複数スコアが評価されるので、スコアの数は33となります。 Part IVはmotor fluctuation およびジスキネジアに関する 6 項目の質問からなります。 すべての質問に対して同じ臨床評価尺度を用います。 0=正常、1=非常に軽度、2=軽度、3=中等度、4=高度を使用します。 Part Iの複雑行動(complex behavior)を扱う 6 項目の質問と、 PartIVの fluctuationおよびジスキネジアを扱う全ての質問は、患者や介護者と面談した評価者が回答します。 Part IおよびPart IIに含まれる残りの 20 項目の質問は、患者、介護者が回答し、評価者は直接回答しません。 Part IIIでは全項目について評価者が検査を行います。 使用方法 マニュアルおよび評価用紙は以下を参照してください。 UPDRS、MDS-UPDRSの違いは? Part Iでは興奮、薬物依存、病的賭博、 性欲亢進などの職業・社会生活に支障を来たすドパミン調節異常症候群(Dopamine Dysregulation Syndrome:DDS)や睡眠関連障害、排尿・排便障害、疲労感が追加されています。 Part IIでは趣味や娯楽、移乗動作の評価が追加されています。 Part IIIではつま先タッピング、安静時振戦の恒常性が追加されています。 Part IVでは運動症状変動時の身体機能への影響が追加されています。 結果の解釈 パーキンソン病統一スケール改訂版(MDS-UPDRS)は、重症度や治療効果の判定に使用されます。 カットオフや基準値は設定されていません。 スポンサードサーチ パーキンソン病の疲労の評価:PFS-16 ( Parkinson Fatigue Scale ) PFS-16(Parkinson Fatigue Scale)の概要 PFS-16(Parkinson Fatigue Scale)は、パーキンソン病の方の、「疲労」に対する特異的な評価尺度です。 PFS-16は、疲労に関する16項目の質問から構成されています。 対象者は、「1:全く当てはまらない」〜「5:強く当てはまる」の5件法で、回答を選択します。 PFS-16(Parkinson Fatigue Scale)の評価方法 評価基準 1:全く当てはまらない 2:当てはまらない 3:どちらでもない 4:当てはまる 5:強く当てはまる 評価項目 1. 日中,休息を要する。 疲労により生活が制限されている。 他人よりも早く疲れてしまう。 私にとって疲労は三大症状の1つである。 疲労困憊と感じる。 疲労のため社交に消極的になっている。 疲労のため物事を成し遂げるのに時間がかかる。 体が重いと感じる。 こんなに疲れていなければ,もっと多くのことができるのにと思う。 何をするにも骨が折れる。 ほとんどいつも元気が出ない。 完全に疲れ果てたと感じる。 疲労のため日常活動に対処するのが困難である。 何もしていないときも疲れを感じる。 疲労のためにしたいことが十分にできない。 どこにいても横になりたいほど疲れる。 PFS-16(Parkinson Fatigue Scale)の結果の解釈 各項目の合計点から、平均値を算出します。 その範囲は1. 0〜5. 0となります。 PFS-16では、得点が高いほど疲労を感じていることを表しています。 平均値が3. 3以上を基準とすれば、感度84. 7%,特異度82. 1%で、疲労に問題のある対象者を特定できるとされています。 そのため、カットオフ値は3. 3となります。 対象者の疲労は、意欲低下や動作の制限につながることが考えられます。 セラピストは、その原因が何にあるのかを考え、例えば効率的で疲れにくい動作方法を指導する、連続で動く時間を制限する(適切な休息をとる)、福祉用具を適切に使用し、努力的な動作を軽減する、などの 指導をしていくことが大切になります。 この評価では、対象者への質問または自己記入にて行います。 評価項目のカテゴリーは8つに分かれており、可動性(運動能力)が10項目、日常生活活動(ADL)が6項目、精神的な健康観(情緒的健康)が6項目、病気であることによる精神的負い目(スティグマ:恥辱)が4項目、社会的支援が3項目、認知が4項目、コミュニケーションが3項目、身体的不快感が3項目の計39項目から構成されています。 各質問に対し、「0:まったくなかった」〜「4:いつもあった」の5件法で評価を行っていきます。 PDQ39の評価項目 可動性(運動能力) 1 やりたい余暇の活動を行うのに支障を感じましたか 2 家の事をするのに支障を感じましたか、例えば日曜大工、家事、料理など 3 買い物の荷物を持つのに支障を感じましたか 4 1. 例えば、読書やテレビを見ているときなど 32 記憶力が悪くなったと感じましたか 33 いやな夢や幻覚を見ましたか コミュニケーション 34 話をするのに支障がありましたか 35 適切に他人と会話ができないと感じましたか 36 他の人から無視されたと感じましたか 身体的不快感 37 苦痛を伴う筋肉のけいれんやひきつけがありましたか 38 関節や、体に痛みを感じましたか 39 不快に寒さや、暑さを感じましたか PDQ39の概要の結果の解釈 各項目の合計点は、0〜156点です。 点数が低いほど、QOLが高いことを示しています。 このような評価を通して、パーキンソン病の方が何に困っているか、また何に引け目を感じているか、どこを改善したいかなどを知るきっかけにもなります。 点数が高い項目があれば、そこを掘り下げることで、対象者の価値観が見えてきたり、他の問題発見やサポートの仕方を考えることができるかもしれません。 スポンサードサーチ 上肢機能とリハビリテーション 固縮とリハビリテーションの視点 上肢の固縮は、 寡動などの症状とともに関節拘縮を引き起こす可能性があります。 前腕回内外や手関節、手指の固縮はゆっくりとした関節可動域訓練を行い、維持していけるようにします。 すくみ現象とリハビリテーションの視点 四つ這い時の上肢すくみ現象では、視覚刺激、聴覚刺激、言語指示などの手がかりを用います。 歩行時の腕振りの減少には聴覚刺激が有効になる可能性があります。 車椅子駆動では、駆動時に体幹の動きを利用しながら、ハンドリムの最上部を握るようにさせます。 また、ハンドリムに視覚刺激となる目印のテープを巻くなどの方法もあります。 食事動作とリハビリテーションの視点 食事動作では、パーキンソン病患者では健常者に比べて手の握りの径が小さく、柄の握りに多くの指が関与しているとの報告があります。 そのため、パーキンソン病患者では、スプーンの柄は小さい方が手関節など協調性が促されやすいと考えられます。 食事は比較的自立度の高い動作とされています。 前腕回内外や手関節掌背屈が重要となるため、関節可動域の維持に努めます。 体幹前屈姿勢は先行期に影響を及ぼすことがあるため、良姿勢を保持できる環境設定も重要です。 小字症とリハビリテーションの視点 薬物コントロールをしていないパーキンソン病患者の、閉眼時と開眼時の書字を比較した実験があります。 結果は、閉眼時の分の長さが開眼時に比べて有意に長かったとの報告となっています。 これは、単に運動状態の低下ではなく、歩行のような高次に学習される運動課題の障害に関係しているのではないかとの考えがあります。 また、視覚的手がかりが即時効果があることが示されています。 具体的には、平行線の間に字を書くことで、改善がみられます。 小字症は、パーキンソン患者では直前や直後の運筆を視覚的手がかりとして次の運筆を進めるため、徐々に字が小さくなるのではないかと考えられています。 描画では小字症の影響は出ないことも特徴です。 更衣動作とリハビリテーションの視点 更衣動作では肩関節可動域と手指巧緻動作が問題となります。 衣服の選択に注意し、上下肢を通しやすいもの、伸縮性のあるもの、ボタンが大きめのもの、衣服の改良、滑りやすい素材などにします。 更衣時間をonの時間に合わせることも必要になります。 また、記憶誘導性の運動が行いにくい(目の届きにくい場所など)場合には、鏡を見ながら動作するなどが有効になることがあります。 しかし、これらの方法では個人差があり、効果がある場合や効果が認められないこともあります。 また,疾患の優位側と利き側が一致することが多いことについても報告されている。 岡田洋平「パーキンソン病の理学療法 Up to date」理学療法学 第 42 巻第 8 号 755 ~ 756 頁(2015年) 意識しないかもしれませんが、健康な方の場合、歩き始めの第1歩は一定していることがほとんどのようです。 その時、利き足(ボールを蹴る側の下肢)にて一歩を踏み出すのですが、パーキンソン病の方では、疾患における優位側(症状を左右差で見た場合の、より障害が現れている側)が利き足の場合、すくみ足が見られる可能性が高いようです。 そのため左右差を考えたアプローチでは、 ・歩き始めにはどちらの側から歩き始めればよいかを考える(試す) ・どちら側から方向転換したらよいかを考える(試す) のように試み、場面に応じた動作指導を行う必要があります。 スポンサードサーチ 後進歩行(後ろ歩き)の筋活動と効果!パーキンソン病で用いると効果的! 後進歩行(後ろ歩き)とは 後進歩行(後ろ歩き)とは、その字のままに、後ろ向きに進むことをさします。 後進歩行(後ろ歩き)は、前進歩行とは違った筋活動を要しており、その特徴を知ることで、リハビリ場面でどのようなことを目的として取り入れるかを知ることができます。 その前に、パーキンソン病になぜ後ろ歩きを用いるかを考えていきたいと思います。 パーキンソン病の方はなぜ転倒しやすいのか パーキンソン病の方は、とても転倒しやすいことが特徴として挙げられます。 それは、主に姿勢反射障害というものが影響しているのですが、もう少し具体的に転倒しやすい理由を考えていきたいと思います。 パーキンソン病の方がよく取りやすい姿勢はどのようにして生じていくのか パーキンソン病の方は、その進行とともに、丸まった姿勢を取りやすいことが知られています。 パーキンソン病の方においては、下肢の屈筋と下肢の伸筋を比較すると、下肢の伸展筋が相対的に活動性が低下し、屈筋が優位になります。 また筋固縮により、屈筋が全体的に優位になります。 こららの要素によりパーキンソン病の方では、股関節、膝関節が屈曲した、いわゆる屈曲姿勢をとりやすくなります。 この姿勢では、重心は自然と後方に位置することになります。 重心が後方に移動したときに、その重心を支持基底面内に留めておくことができなくなり、転倒を防ぐのですが、そのために、代償的に体幹を前傾しようとします。 この、屈筋優位の姿勢と、代償的な体幹前傾姿勢により、パーキンソンん病の方は屈曲姿勢をとりやすくなるのです。 前傾姿勢とバランス低下、すくみ足や突進歩行との関係性 体幹前傾姿勢が完成していくメカニズムがわかりました。 この前傾姿勢ですが、この姿勢が続く、または増強すると、脊柱や股関節の関節可動域は制限されてくることは容易に想像できるでしょう。 背中が伸びにくくなり、また股関節が伸ばしにくくなります。 このような前傾姿勢だけでも、重心を高い位置に保つことができず、歩行においてはかなり不利な状況になります。 加えて、パーキンソン病に特有なすくみ足や突進歩行などがあると、スムーズな歩行がかなり阻害されていまします。 少し話がそれましたが、前傾姿勢を制御しようとするために、腰背部の筋の筋緊張は高くなります。 また、腹部の筋は働きにくくなります。 これらの要因は、突進歩行やすくみ足を増悪させることにつながり、結果的に転倒してしまう可能性が高くなります。 パーキンソン病の方は足関節ストラテジーが使えない? パーキンソン病の方に多く見られるバランス保持のための戦略は股関節ストラテジーです。 細やかなバランス保持という点では、やはり足関節ストラテジーを使えるのが理想的です。 パーキンソン病の方では、下肢遠位筋の主動作筋と拮抗筋が同時収縮しやすいという特徴があります。 足関節のコントロールでは、底屈と背屈筋が協調し合うことで成り立ちますが、同時収縮してしまうと、そのコントロールが不可能になってしまいます。 また前途している体幹前傾姿勢も重なっているので、重心移動のコントロールも難しくなり、足関節の自由度はどうしても低くなってしまいます。 パーキンソン病のすくみ足を筋活動から分析 すくみ足の筋活動的な分析も考えていきます。 すくみ足では、前脛骨筋と下腿三頭筋が同期した活動となり、これは、拮抗筋への相反抑制が効かない状態と言えます。 前途しましたが、下肢遠位筋の主動作筋と拮抗筋が同時収縮し、足関節のコントロールが困難な状態になります。 これは、歩行時の重心移動がスムーズに行えない原因になります。 後進歩行(後ろ歩き)の筋活動 さて、本題です!! 後進歩行(後ろ歩き)についての筋活動の特徴を以下に示します。 大臀筋:立脚中期に活動 中臀筋:立脚初期から中期にかけて活動 大腿二頭筋:立脚後期から遊脚初期にかけて活動 大腿直筋、内側広筋:遊脚後期から立脚初期、立脚中期 腓腹筋外側頭:立脚初期に活動 前脛骨筋:立脚後期から遊脚初期に活動 ヒラメ筋:立脚初期に活動 主な筋活動は上記のようになっているのですが、後進歩行(後ろ歩き)は股関節伸展を主とした歩行様式になるので、体幹や股関節伸展筋の筋活動を誘発しやすいと言えます。 後進歩行(後ろ歩き)では、立脚期に前足部から着床し,遊脚期には股関節を伸展して下肢を振りします。 着床初期はハムストリングスや腓腹筋の筋活動が高まりやすくなります。 後進歩行(後ろ歩き)がパーキンソン病の方に利用しやすい理由 前途しましたが、後進歩行(後ろ歩き)は股関節伸展を主とした歩行様式になるので、体幹や股関節伸展筋の筋活動を誘発しやすい歩行と言えます。 これにより、前傾姿勢が改善されることが期待できます。 前傾姿勢が改善されると、姿勢保持における下肢遠位筋の過剰な筋の同時収縮も軽減しやすくなることが考えられます。 すると、足関節のでの制御が行いやすくなり、立位バランスが改善されることが期待できます。 若い方では仕事も続けながら、生活リズムを整えた生活をしていくことも重要です。 パーキンソン病は緩徐進行性の疾患であるため、この時期から運動習慣をつけておくことが大切になります。 運動機能面に加えて、精神機能面における廃用にも留意します。 人と交流する場面をとることで、精神機能は賦活されます。 姿勢反射障害があると転倒のリスクが高まります。 転倒防止に向けた環境設定(床の障害物をなくす、動線を明るくする、絨毯を除去する、靴の踵を踏まない、手すりの設置)に加えて、転倒リスクが高い人ではヒッププロテクターの利用も検討します。 リハビリテーションでは、日常生活上に困難さがある動作や活動に対してアプローチを行います。 起き上がりがしにくい方でも、少し手をつく位置を変えるだけでも自立した動きになることがあります。 対象者の状態に合わせた動作方法や、介助が必要であればできるだけ対象者の能力を引き出せる介助方法を専門家とともに検討します。 見逃されがちなのが巧緻動作能力の低下です。 細かい手の動きも障害されるため、ボタンの止め外しなどにも影響があります。 私の経験上、病気になってからも趣味で手芸などの細かい作業をしている方は、巧緻動作能力が保たれやすいです。 趣味活動は巧緻動作能力に加え、精神機能の賦活や認知症予防にもなりますので、積極的に行うようにしてください。 この状態では、動きが極端になくなってくるので、関節可動域制限や拘縮が生じやすくなります。 また、動きが少ないと血流が悪くなり、痛みにもつながっていきやすくなります。 そのため、関節可動域を保つために動かしたり、関節の固さを作らないために良姿勢を保てるように工夫する必要があります。 褥瘡予防としてマットなどの環境設定や、体位変換なども重要になります。 スポンサードサーチ パーキンソン病と運動イメージ 運動イメージは、例えば椅子に座っていいて、机の上に置いてある目の前のコップを手にとる動きを頭の中で思い浮かべてください。 このとき、運動に伴う筋肉や皮膚の変化を感じることが「運動イメージ」です。 私たちは、これまでの経験からこれから行う目的的な運動を予測して、その準備を行っています。 他人からコップを渡されてつかむ場合に、水がいっぱい入ったコップをつかむ場合と、空のコップでは把持に用いる筋収縮の程度は異なるが、これはあらかじめ経験を通じて記憶している筋収縮のイメージから予測して把握を行う準備をしている。 それゆえ、予測がつかない、すなわちイメージができないと動作が行えない場合がある。 宮口 英樹 他「運動イメージの臨床応用」作業療法ジャーナル Vol. 45 No7 2011 パーキンソン病の方などにおいても、動作のイメージを用いることで動作がスムーズになることを経験しますが、運動イメージは日常生活を送る上でも役立っていることが伺えます。 運動イメージでは、運動に関する脳部位が活性化されます。 また、それは前途した視覚イメージと運動イメージにより活動部位に若干の違いがあるともされています。 よく言われているのは、運動イメージには運動前野や補足運動野の関わりがあるということです。 補足運動野は随意運動のプログラミングにおいて重要な役割を果たしており、運動イメージという随意運動の準備段階においても活動することがわかった。 梁 楠 「運動イメージのリハビリテーションへの応用」作業療法ジャーナル Vol. 45 No7 2011 イメージの応用としては、 ・寝返りでスムーズな動きをイメージしてから動作を開始する ・服を着る順序を意識しながら着ていく ・入浴で足をまたぐ順番、手すりを持つ位置などの手順や動作場所をイメージする などが考えられます。 パーキンソン病と動作学習 パーキンソン病の方と動作学習については、 動作継続の重要性と動作再学習の可能性を示している。 そして、過去に頻度多く繰り返した動作ほど、維持あるいは再学習の可能性が高いことも示唆される。 さらに、必要な運動を、一つひとつ(まるで運動分析のように)確認し、頻度多く繰り返すことが効果的であることも示唆される。 高畑進一「パーキンソン病当事者の日常生活動作困難とイメージの重要性」作業療法ジャーナル Vol. 45 No7 2011 とあります。 このことから、パーキンソン病の方が苦手、あるいは困難に感じている動作を把握し、動作学習を促す機会を繰り返し設けることは大切だと思われます。 こちらの記事もおすすめです! スポンサードサーチ パーキンソン病とリスク管理能力?! パーキンソン病の方では、ネガティブな感情の認知に問題が見られることがあります。 ネガティブな情動とは、恐怖、嫌悪、怒り、悲しみなどの情動を指します。 ネガティブな情動認知の障害があるということは、恐怖、嫌悪、怒り、悲しみなどの情動に対する反応が低いということになります。 ネガティブな情動認知に問題があるとどのような不利益が起こるのでしょうか。 例えば、私たちが道を歩いているときに、滑りやすい(凍っている)道路があるとします。 このとき、通常であれば転倒すると危ないという恐怖心や警戒心から、その道を避けて通ったり、その道をゆっくりと通ったりすると思います。 これは、ネガティブな情動の認知が適切に働いていることによる危険回避行動となります。 しかし、ネガティブな情動の認知に問題があると、恐怖心や警戒心なくそのまま歩いてしまい、転倒してしまうおそれがあると思います。 ネガティブな情動認知や意思決定の評価については以下の記事を参照してください。 ネガティブな情動認知や意思決定に問題がある場合、以下のようなことが問題になります。 パーキンソン病と健康管理!スマートフォンアプリ(リハビリ日誌)を用いて! リハビリ日誌の概要 「リハビリ日誌」はパーキンソン病の方の健康管理を促進するスマートフォンアプリです。 「リハビリ日誌」には様々な機能がついており、上手く利用していくことで、日々のリハビリテーションや診察時の情報提供に役立つ可能性があります。 アプリの使用には、アプリをダウンロード後、会員登録画面にて各種情報を入力することで利用が可能になります。 アプリ使用中には広告が出てくるようですが、無料アプリで様々な機能が使えることはありがたいため、目をつむりましょう。 出典:「リハビリ日誌」起動画面より リハビリ日誌の主な機能と日常での使い方 リハビリムービー リハビリムービーでは、アニメーションを見ながらパーキンソン病の方に必要なリハビリ(筋力、関節可動域)を学ぶことができます。 いつでもどこでも再生できるので、ムービーを見ながら自主トレを行うことが可能になります。 パーキンソン病は緩徐進行性の疾患であり、いかに身体機能や日常生活機能を保っていくかが生活の質を高めるのには重要になります。 そのために自主トレは重要になるのですが、療法士などに「こんな風に運動をやってください」とその場で言われたとしても、その場では覚えていたが家に帰ると動き方を忘れることなどがよくあります。 スマートフォンを普段から利用している方では、アプリを開くのはあまり手間には感じませんし、動画を何度でもチェックできるので、正しい動きでの自主トレにつながることは多いと思われます。 ds-pharma. pdf ウォーキングカウンター ウォーキングカウンターでは、時間を設定しながら、パーキンソン病の方でも歩きやすいように聴覚刺激(メトロノーム)がリズムよく流れます。 ds-pharma. pdf パーキンソン病の方は、「すくみ足」が見られます。 歩き始める時、方向転換する時、狭いところを通る時、目標に近づいたときなどに足が床に張り付いたようになり、次の一歩が出なくなる状態です。 すくみ足の特徴として、「逆説的歩行」があり、平地では上記のような症状が見られますが、足元に目印やまたぐものがあると一歩が出たり、階段昇降だと行えるようなことがあります。 すくみ足が見られると、転倒のリスクが高まります。 転倒により骨折などが見られると、それを契機に活動性の低下から廃用症候群に陥るという悪循環も考えられます。 身体機能を保つため、転倒を防ぐためにも、歩くことによって筋力を維持することは重要です。 症状記録/振り返り 日々の症状の変化を記録し、報告することは、診察において重要なことです。 主治医は患者本人の情報や、医学的情報を元に、アプローチを決定していくためです。 しかしながら、日々の症状の変化を詳細に記録していくことは大変面倒臭いことです。 人間は、よっぽどのことがない限り面倒臭いことを進んで行うことはないと思われます。 そこで、アプリを利用することで、記録をつけるのが大変楽になると思われます。 ノートに書かなくても良いというのは、スマートフォンを使っている方にとっては非常に楽に感じられる作業です。 電子化されたデータであれば持ち運びも楽ですし、スマートフォンをなくすということも少ないですから、効率良く症状の記録や振り返りができると思われます。 ds-pharma. pdf お薬管理 パーキンソン病では、認知症を合併する確率が高いとされています。 また、記憶や注意などの認知機能の低下がみられることもあります。 パーキンソン病の方にとって、服薬で症状をコントロールすることは非常に大切なことであり、薬の飲み忘れは避けなければならないことです。 アプリのタイマー機能を使うことで薬の飲み忘れを防ぐことにつながると考えられます。 ds-pharma. pdf スポンサードサーチ.

次の

レビー小体型認知症の3つのタイプとパーキンソン病との関連

パーキンソン 病 病態

今回はもう少し詳しい病態について説明をしたいと思います。 レビー小体型認知症とパーキンソン病 レビー小体型認知症は、 レビー小体という異常なタンパク質が脳にできることで起こる認知症です。 もともとレビー小体はパーキンソン病に特有にみられるものだと考えられていたそうですが、1976年に小阪憲司先生が認知症とパーキンソン病を合併した症例を発見・報告したことで、レビー小体型認知症という病気が確立されたそうです。 本質的には同じ病気 レビー小体型認知症とパーキンソン病は本質的には同じ病気で、脳のどの領域の神経細胞にレビー小体が溜まるかで診断名が変わります。 この 3つのタイプを総称してレビー小体病と呼ばれることもあります。 アルツハイマー型認知症との比較 アルツハイマー型認知症と、レビー小体型認知症は同じ認知症でも特徴に違いがあります。 症状の現れ方は人それぞれ レビー小体型認知症に限ったことではありませんが、症状の現れ方は人それぞれです。 幻視、パーキンソニズム、 記憶障害がレビー小体型認知症の3大兆候といわれていますが、3つの症状が必ずはっきりと出現するわけではなく、実際に今まで関わったケースでも幻視が現れないタイプやパーキンソニズムが目立たないタイプもいました。 合併することも多い レビー小体型認知症も比較的新しい病気ですので、日々情報が変化しています。 もともとはアルツハイマー型認知症と診断を受けた人がレビー小体型認知症の症状が出てきたり、または前頭側頭型認知症のような症状が出てくることもあるそうです。 まとめ レビー小体型認知症はパーキンソン病は密接に関連しています。 「認知症」という診断名がついているからといって、精神症状や認知機能だけに視点を起きすぎるのではなく、身体面の観察も重要です。

次の

パーキンソン病を分かりやすく説明。症状、治療法。摂食・嚥下障害にも注意

パーキンソン 病 病態

この結果としてiPS細胞の病態を改善させる4種類の化合物を同定しました。 本研究ではさらに、このシステムで同定した薬剤がパーキンソン病モデル動物のショウジョウバエと一部の孤発性パーキンソン病患者由来細胞に対しても病態改善効果を持つことを確認しました。 原因遺伝子と細胞での表現型が明らかである家族性症例の細胞を用いて同定した化合物が、原因不明で症例の大部分を占める孤発性症例由来の細胞でも効果があるという結果は、パーキンソン病に対するiPS細胞を用いた創薬の有用性を示しています。 本研究は国際幹細胞学会(ISSCR)の科学誌Stem Cell Reportsのオンライン版に2020年5月28日付(日本時間:2020年5月29日)で公開されました。 本研究成果のポイント• 損傷ミトコンドリアの除去機能に異常がある家族性パーキンソン病患者由来iPS細胞を用いて、病態検出システムの自動化による薬剤スクリーニングを可能とした。 薬剤スクリーニングにより病態改善効果をもつ化合物を複数同定し、一部の孤発性症例由来の細胞でも病態改善効果を確認した。 家族性パーキンソン病の病態解明と創薬が、孤発性症例の治療法開発につながる可能性がある。 背景 パーキンソン病は、ドーパミン神経細胞の減少により手足のふるえやこわばり、動作の緩慢、姿勢の不安定性(転びやすくなる)といった運動症状や自律神経障害を示す疾患です。 現在のところ治療はいずれも失われたドーパミン神経細胞の機能を補う対症療法であり、根本的な治療法がないのが現状です。 この損傷ミトコンドリア除去機能の低下を薬剤で回復させることができれば、パーキンソン病の発症予防や進行抑制が可能になると予想されます。 しかしながら、これまでの解析法では研究者が1つ1つの細胞を丁寧に観察する必要があり、数百種類の薬剤による効果を一度に検証することは困難でした。 また、家族性パーキンソン病の発症メカニズムが孤発性症例と、どの程度共通するのかは全く不明でした。 そこで、本研究ではまず家族性パーキンソン病に対して改善効果のある薬剤を明らかにするスクリーニングシステムを確立することを目的として、解析手法の自動化の検討を始めました。 内容 今回の研究では、順天堂医院に通院するPARK2の患者さん2名及びPARK6の患者さん1名から作製されたiPS細胞を、研究グループがこれまで開発してきたiPS細胞からドーパミン神経細胞を誘導する複数の手法を組み合わせて、96個の小さな穴を持つプレート上でドーパミン神経細胞へと分化誘導しました。 この手法を用いて、既に臨床応用されている薬剤を含む320種類もの化合物を用いて損傷ミトコンドリア除去機能改善効果などの病態改善効果を検証しました。 その結果、PARK2及びPARK6の病態を改善させる治療薬候補の化合物として、MRS1220、トラニルシプロミン、フルナリジンの3種類の化合物を同定しました。 また、320種類の化合物のうち逆にミトコンドリアの蓄積傾向を示し病態を悪化させたものの中で、ドーパミンの働きを抑制するピモジドという薬剤が見つかったことから、その反対の作用を持つ化合物を探しました。 その結果、すでにパーキンソン病治療薬として過去に使われていたブロモクリプチンが従来のドーパミン作動薬としての作用とは異なる作用で病態を改善させることを明らかにしました。 これら同定された4種類の化合物をPARK6パーキンソン病ショウジョウバエモデルに投与したところ、すべての化合物で症状の改善傾向が見られました。 これらの化合物は副作用などの問題から使用されなくなったものもあり、そのまま治療薬に使うことはできませんが、構造が近い薬物をさらに調べたり、最適な濃度を検討することによって新たな治療薬候補の開発につながる可能性があります。 図:本研究の概要患者由来のiPS細胞から96穴プレート上で分化させたドーパミン神経細胞におけるミトコンドリア除去機能障害の定量の方法をイメージングサイトメーターを用いて自動化することに成功した。 確立した方法を用いて、化合物ライブラリによるスクリーニングを実施し、ヒットした化合物を4種類同定することに成功した。 ヒット化合物はショウジョウバエモデル・孤発性パーキンソン病モデルの一部においても表現型(症状)の回復である病態改善効果を示し、このシステムで同定した化合物が、治療候補化合物として有用である可能性が示唆された。 今後の展開 今回の研究では、患者由来iPS細胞を用いた薬剤スクリーニングシステムによって同定された薬剤が、家族性パーキンソン病患者由来細胞のみならず、孤発性パーキンソン病患者由来細胞の一部に対しても病態改善効果があることがわかりました。 研究グループはこれまで原因遺伝子が明らかである家族性パーキンソン病のiPS細胞を用いて病態解明や治療薬の候補の探索を進めてきましたが、パーキンソン病の症例の大部分を占める孤発性症例にどのぐらい共通しているか、どのぐらい応用できるかは全く不明でした。 今回の研究結果によって、家族性症例と孤発性症例に共通の病態メカニズムがあることが示唆され、家族性パーキンソン病の細胞を用いて同定した病態改善効果のある化合物を見つけることが、症例の大部分を占める孤発性症例にも有効な薬剤開発につながる可能性があることが示されました。 ただ、今回の化合物が有効であった孤発性症例は一部の症例に限られたことから、今後は多様性に富む孤発性症例をより詳細に検討し分類することが必要であり、それぞれの患者に即した治療薬を用いたオーダーメイドのパーキンソン病治療戦略を展開していきたいと考えています。 脳の神経細胞のような直接採取することが困難な細胞を用いた病態解析や再生医療の分野で有用性が大きく期待されている。 損傷ミトコンドリアはParkinにより分解への目印となるユビキチン鎖をミトコンドリアに繋げられ、PINK1によりそのユビキチン鎖がリン酸化されることにより分解へと進行する。 損傷ミトコンドリアは何らかの刺激によりそのエネルギー産生機能などが低下した状態で、これが蓄積することにより酸化ストレスの増加、細胞脆弱性の亢進につながる。 これを用いることにより多くのサンプルを一括で解析でき、解析プロセスの高速化が可能となる。 原著論文 本研究はStem Cell Reports誌のオンライン版で2020年5月28日付(日本時間:2020年5月29日)で先行公開されました。 stemcr. 2020. 011 本研究は文部科学省(MEXT)私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(S1411007)、AMED難治性疾患実用化研究事業(JP17ek0109244)、AMED創薬基盤推進研究事業(産学官共同創薬研究プロジェクト, GAPFREE; JP19ak0101112)、AMEDゲノム医療実現推進プラットフォーム事業先端ゲノム研究開発(GRIFIN; JP19km0405206s0104)、JSPS科研費(JP18K15463, JP17H04049, JP18H02744, JP18H04043)の支援を受け実施されました。 本研究の筆頭著者である山口昂大(研究当時:医学部学生)は文部科学省「基礎・臨床を両輪とした医学教育改革によるグローバルな医師養成」の「基礎研究医養成のための順天堂型教育改革」の支援を受けました。 なお、本研究にご協力いただいた皆様には深謝いたします。 お問い合わせ先 研究内容に関するお問い合せ先 順天堂大学大学院医学研究科 ゲノム・再生医療センター 教授 赤松 和土(あかまつ わど) 取材に関するお問い合せ先 順天堂大学 総務局 総務部 文書・広報課 担当:長嶋 文乃(ながしま あやの) AMED事業に関するお問い合せ先 日本医療研究開発機構(AMED) 創薬事業部 創薬企画・評価課 難治性疾患実用化研究事業.

次の